会 報 第141号 H20.12.2.
スケジュール H20.12.2.
化学史研修旅行 募集要項H20.1.25.






日本基礎化学教育学会
The Association of Basic Chemical Education in Japan - ABCEJ -

名誉会長 宮 田 光 男
会   長 齋 藤 幸 一(開成中学高等学校)
副 会 長 山 本 孝 二(千葉県立古和釜高等学校)
  今 井   泉(駒場東邦中学高等学校)



日本基礎化学教育学会会長  齊藤 幸一

 日本基礎化学教育学会は,1990(平成2)年1月に当時日本私学研究所化学研究室研究員の宮田光男氏(日本基礎化学教育 学会名誉会長)のよびかけにより,それまで,桐朋高校で長年続けてきた化学実験研究会を発展的に解消した形でスタートした。設立趣旨は,簡単に言えば,「中学・高校の先生方を中心とした学会」をつくることであった。現在は月例会を中心に活動して いる。
 今回会報100号までのまとめから日本基礎化学教育学会の活動を顧みて,この紙面にまとめを試みたが,いままでの活動が多岐にわたるので,以前「化学と教育」誌に私が書いた文章をお読みいただくことで,本学会が歩んできた道のりを紹介することに した。
 多くの方々に,活動を理解していただき,今後の活動にともに参画していただければ幸いである。

前会長  大井手 幸夫

 平成2年,日本基礎化学教育学会が発足してより,今年で14年の月日が流れ,その間発行された会報も100号を突破(今年 1月)しました。
  その内容も,学会設立の趣旨に宮田会長(現名誉会長)が述べられている精神を原点に,現場での授業の閤題点や,生徒に興味 を持たせる実験教具の開発など,数々の成果を上げております。
  特に最近では,池本先生(都立大学名誉教授)を中心に,JCEの翻訳や追試の実験など,中・高の現場で活用できる興味深い研究が発表されております。まさに「継続は力なり」の言葉のように,会員の先生方の今後の活躍を期待しております。

名誉会長  宮田 光男

 学会の会報が100号に達し,実に快挙である。まず研究会の企画運営に携わってきた学会の各委員の方々に心から感謝申し上げ たい。
  研究会ごとに提出される実験は,特に生徒の興味を引きつけるものが多く,これを現場の先生方が利用しておられ,化学教育界 に新風を吹き込んでいる。一般に化学研究会の実験は特定の先生方の発表機関となってしまいがちで,先生には興味を持てるもの が多いのだが,この実験が必ずしも,生徒の関心を呼ぶかどうかというと,どうも首を傾けざるを得ない。特に21世紀の生徒は パソコンに非常に興味を持っているので,学会ではこのパソコンを巧みに利用した実験についての研究を積極的に行なってきた。 そしてその成果を次々に会報に発表している。
  時代と共に生徒の二一ズも急速に変化していくので,これに対応するために学会では新たなる研究を企業とタイ・アップしなが ら進めている。学会会報の100号を契機に学会の更なる発展を期待している。



概 要

本学会は,中学・高校の先生を中核とした学会です.
平成2年の発足以来,定例の研究会の実施,書籍の出版,NHKビデオの制作などを積極的に行っています.
定例の研究会には,中学部会,高校部会,そして高校生の研究会などがあります.



会 報

中学・高校部会

中学・高校部会  2008年10月4日(土) 開成中学校化学実験室


(1) 肆矢浩一先生(國學院高校)
<ガスバーナーの演示実験>
 @ ガスバーナーを分解。
 A 空気調節ねじとガス調節ねじを外して点火。
 B 外炎と内炎の温度測定。
   【温度計付デジタルマルチメーター】(熱電対温度計−20〜1000℃)1200円
    秋月電子,東京都千代田区外神田1-8-3 野水ビル,TEL 03-3251-1779 
 C 内炎にマッチを入れる。
 D ガスバーナーの火に針金,割りばしを入れる。
 E オレンジ色の火で空の試験管を加熱。→煤が付着 
 F 食塩を融かす。
 G 銅板を酸化・還元する。
※先生方からのアドバイス
 ・ガスバーナーを分解して各部品をスケッチさせることにより,ガスバーナーの構造をしっかり理解
  させることができる。
 ・火の強さの調節が重要である。強火,中火,弱火を実際に見せておくことが必要である。
 ・女子生徒には髪の毛を束ねるように指導したい。
 ・消火するとき,ねじを締めすぎないようにする。ねじを一旦締めてから,少し戻しておくとよい。
 ・点火のときマッチを使用している:参加者のうち6名,                   
  点火のとき着火マンを使用している:参加者のうち5名
 ・マッチの擦り方を指導したい。最近マッチをうまく使えない生徒がみられる。

(2) 小松先生(東大附属中高)
1.映画紹介 Eames Films:チャールズ&レイ・イームズの映像の世界
  「パワーズ・オブ・テン」価格3990円販売元角川エンタテイメント
2.日私研夏の研修会発表「探究型の課題でつくる高校化学の新しい取り組み」の報告
  セッコウ玉子づくりのやり方を授業映像でみていただきました。夏は水風船を専用クリップで止
  めましたが,その後の授業実践から,結わえるのが最も良いということがわかり,うまく結べる方
  法を皆さんに紹介しました。
  [実験参考:平松茂樹,化学と教育,2008,56(4),188妻木貴雄,化学と教育,1944,42,(4)248]
3. 新しいカリキュラム「イオン交換反応」の検討
  中学でイオンが無くなった生徒に化学Tとしてイオンの学習をどう進めるかを検討しています。新
  しい授業ストーリーを検討していただきました。
  [実験参考:2007.12.08.都理研発表資料 加藤優太先生(都荒川工)]

(3) 吉田先生(開成高校)
1. ペーパークロマトグラフィーできれいに分離する溶液の紹介
   メロンシロップ(緑)での実験で,青色1号と黄色4号の分離をペーパークロマトグラフィーで最
 終的に行うが,メロンシロップから行うときは色素を毛糸で取り出し,再び溶出させて,その溶液を
 数時間煮詰めなければならないので面倒である。青色4号,黄色1号の混合で緑色素溶液をつくって
 分離させると簡単である。展開時間は10分程度あればきれいに分離が確認できるので,授業や実験で
 も非常に使いやすく,溶液を作っておくと大変便利である。食用色素は少量で良いのでスーパーで点
 眼ビン程度の大きさのもの(2gくらい)なら300円程度。この混合でできた食用緑もあるのでそれを
 使うという方法もある。
2.  学会のホームページについて(独自のHPアドレスをとる)
 現在のホームページは日本私学教育研究所のサーバーの一部をお借りしているので,ホームページ
 アドレスが分かりづらくなっている。紹介するにも教えにくく,また,過去の会報のページは別アド
 レスになっており色々と問題がある。年間約1万円位でわかりやすい個別アドレスがとれて,いろい
 ろとメリットもあるので,この際運用してみてはどうかという提案をした。予算的には可能で,参加
 者の賛同も得られたので,会長の判断で,独自のアドレスをとることになった。



中学・高校部会  2008年11月8日(土) 開成中学校化学実験室


(1) 宮本一弘(開成中学高等学校)
  朝日小学生新聞連載の「わくわく理科タイム」から,真空保存容器を使った実験を紹介。わくわく
 理科タイムの記事は,ネットで「わくわく理科タイム」で検索すれば,バックナンバーが見られます。
  資料
   ・「真空保存容器で湯をわかそう」 わくわく理科タイム
     真空保存容器を用いて減圧沸騰
   ・「真空保存容器で楽しく実験」 わくわく理科タイム
     真空保存容器を用いたいろいろな実験(マシュマロをふくらますなど)
   ・温めていないのに沸騰!?
     丸底フラスコを用いた減圧実験と噴水実験

(2) 小松先生(東大附属中高)
<酸塩基の授業報告>
  新しく無機各論を理論に入れながら,探究的に進めていく授業実践の報告をしました。通常の進め
 方ではなく,中和→酸化物→酸・塩基の定義→塩→pHという流れで進めました。例年とは違った生
 徒の反応で,これは良いと思えるところがいくつか見つかりました。また探究的な課題としてマイク
 ロスケールによる実験をいくつかやってみました。容器はIWAKIマイクプレート460円/個のものを
 使用し,薬品はすべて点眼ビンとして最近でたNaRiKaプチボトルシリーズ30 mLを使いました。これ
 はおすすめです。また滴定ではカルピスとカルピスウォーターの滴定をしましたので,あわせてその
 報告もしました。来年2月14日(土)に勤務校で公開研究会があり,私も授業公開をすることになりま
 した。また講師として池本先生にも来て頂きます。ご興味がありましたらご参加ください。(また詳
 細が決まりましたら御連絡します)

(3) 肆矢浩一(國學院高校)
<田中正造に関する展示の紹介>
  下野新聞創刊130周年記念企画展「予は下野の百姓なり」
  ―田中正造と足尾鉱毒事件 新聞でみる公害の原点― 
  期間: 2008年9月20日(土)〜11月30日(日) 
  場所: 日本新聞博物館 神奈川県横浜市中区日本大通11(JR関内駅より徒歩10分)
  電話:045-661-2040    http://newspark.jp/newspark/floor/info.html
  田中正造は,足尾鉱毒事件を国会で20回以上取り上げ,鉱毒で苦しめられる人々を助けるために
 闘い続けた人物です。この田中正造の生涯と「公害の原点」といわれる足尾鉱毒事件を,直訴状な
 どの豊富な資料をもとに紹介しています。来年の春休みに足尾銅山の旅行が予定されていますので,
 是非ご覧ください。

(4) 池本勲先生
<J.Chem.Educの実験の紹介>
 ・食酢と炭酸水素ナトリウムの反応を用いた制限試薬の演示実験
 ・アルミニウムの実際の反応性
 ・銅貨から銀貨や金貨をつくる

(5) 小坂先生(大妻中・高校)
 <色が変わる焼酎「さくら咲く」の紹介>
  「さくら咲く」は,ミネラルウオーターで割ると琥珀色からピンクの「さくら色」に変わる,不思議
 な焼酎です。アルコール25度。720 mL(1495円)360 mL(890円)
 販売先 http://www.gem.hi-ho.ne.jp/to-kubo/sakurasaku.htm
 ラック色素・・・
  コチニール(カイガラムシからとった色素)という色素があるのですが同じように使われることが
 あるので,もしかしたらと思ったら,カイガラムシの一種にラックカイガラムシと言われる種類があ
 るということです。ラック色素は,変色域がpH5〜6の間なので,はじめ少し酸性になっていて,水で
 薄めることで10倍に薄めることでPHが1大きくなるので,水で薄めれば,PHが変化して色が変
 わるようです。
        ↓まさにこの色の変化でした。
     参考http://www.saneigenffi.co.jp/color/nlac.html

(6) 渡部先生(立教新座中高)
<「理科教育セミナー −実験で知る理科授業最前線−」のご案内>
  全日本科学機器展IN東京2008が,11月26日(水)〜28日(金)に東京ビッグサイトで開催され
 る。28日(金)の午後,表記セミナーが予定されている。詳細は下記のホームページをご覧下さい。
         http://www.sis-tokyo.jp/session1.htm#zone3

<アンケート協力のお願い>
  NHK教育テレビで,中高生対象の新番組「すイエんサー」 (11月8日(土),10:30〜11:14)が
 放送された。本番組について,生徒対象のアンケートの協力をお願いした。関心のある方は,渡部(立
 教新座中高,勤務先・電話048−471−6631,電子メールtwatanab@nhss.rikkyo.ne.jp,までお問い合
 わせ下さい。DVDとアンケート用紙をお送りします。

(7) 齊藤先生(開成中学高等学校)
1. 齊藤の最近気になること No.1
  これから研究会で,齊藤が平素,中・高化学の教育の現場を通して気づいたり疑問に思ったりした
 ことを逐次報告し,議論することにした。高校化学の教科書の「酸・塩基」の記述において1価の酸
 の例として塩化水素というべきか塩酸というべきかで混乱が見られる。アレニウスの定義によれば,
 酸とは,水に溶けて水素イオンHを生じる物質である。1価の酸の塩化水素が水に溶けて塩酸とな
 り,酸性を示すことになるので,1価の酸の例としては塩化水素というべきではなかろうか。一方,
 理化学辞典などによれば,硫酸や硝酸は分子名と水溶液名ともに使われる。このような微妙な言葉使
 いは,初学者の生徒には気になるところであり,明確に区別すべきではないか。
2. 演劇 「サムライ 高峰譲吉」を観て
  去る10月30日(木),新宿紀伊国屋サザンシアターにて東京ギンガ堂公演「サムライ 高峰譲吉」
 を観てきました。上野彦馬,坂本龍馬,長井長義,上中啓三などの人間関係がよくわかり,化学史学
 習の一助となる作品でした。
3.東京私学の化学「実験研修会」のお知らせ
  12月13日(土)14:30〜16:30
   開成中学校 第一実験室 4階
   講師  齊藤幸一
   テーマ メロンシロップを使った実験
 (染色による色素抽出・クロマトグラフィーによる色素分離・残液による銀鏡反応など)
 他に興味ある演示実験や高校化学の問題点 
    申し込み問い合わせは下記まで
         TEL03-3263-0544 東京私学教育研究所 担当 目黒宛

(8) 吉田先生(開成中学高等学校)
<学会ホームページについて>
  アドレスは提案通り,「 http://www.kisokagaku.com 」がとれました。10月15日頃より,運用を
開始しています。これからも移動作業がまだありますが,例会の報告,次回の予定なども携帯電話で
も見られるようになっているのでご覧下さい。
<国内研修旅行の計画について>
  今年度は,田中正造をテーマにした1泊2日の旅行を3月末に実施する予定です。期間は,いつが
好ましいか検討中です。次回の例会で,日程を決める予定です。


<事務局より>
 例会は基本的には第2土曜日4時から開成学園中学理科実験室になります。しかし,次
回は第1土曜日となります。



スケジュール

中学・高校部会

中学・高校部会 2008年12月13日(土) 午後4時30分〜6時 
      会場:開成中学校 化学実験室(JR・地下鉄千代田線、西日暮里駅下車)


 ☆みなさんの参加をお待ちしております。
 ☆普段何気なく感じる疑問点などありましたら是非お持ちください。
 ★実践報告をはじめとする会員各位のお手紙、FAX 、電子メールをお待ちしております!!





≪当学会への入会方法について≫
   入会申込書は下記あてにご請求ください。
     こちらからダウンロードも出来ます。(PDFファイル 22KB)Adobe Readerをダウンロードしてからご覧下さい。

   〒154-0001 東京都世田谷区池尻4−5−1  駒場東邦中高校 化学研究室 内
        日本基礎化学教育学会事務局(A.B.C.E.J.事務局)

       FAX; 03−3466−8225
       e-mailの場合; izuimai@komabajh.toho-u.ac.jp  
 
       日本基礎化学教育学会HP;
http://www.shigaku.or.jp/abcej/index.htm 
                        
http://www5f.biglobe.ne.jp/~abcej/





<会場案内>

・駒場東邦中・高校(担当:化学科今井)
〒154-0001 世田谷区池尻4-5-1
         TEL:03-3466-8221   FAX:03-3466-8225
 交通;京王井の頭線 「駒場東大前」駅下車 徒歩約10分
     東急新玉川線 「池尻大橋」駅下車 徒歩約10分

・開成中・高校(担当:化学科齊藤)
〒116-0013 荒川区西日暮里4-2-4
        TEL:03-3822-0743  FAX:03-3822-0751
 交通;JR山手線・京浜東北線 「西日暮里」駅前