No.265 −名詩−



   ヨコハマが続きましたので、今回はぐっと真面目にネスコ編「教科書でおぼえた名
  詩」の中から、いくつかを、それぞれの時代を良く表しているものとして選んでみま
  した。

               潮 音 (中学二年)
                      島崎 藤村

                            わきてながるゝ             
                            やほじほの                 
                            そこにいざよふ             
                            しらべもふかし             
                            もゝかはの                 
                            よろづのなみを             
                            よびあつめ                 
                            ときみちくれば             
                            うらゝらかに               
                            とほくきこゆる             
                            はるのしほのね             
                                   (「若菜集」より)

   藤村の作品は、他に「小諾なる古城のほとり」「椰子の実」「初恋」なども取り上げ
  られているようです。内容については、特に言揚げする必要もないと思いますが、何
  となく短歌の風を思わせます。
   次は、これ又教科書には、必ず登場する方の作品。

               高 原 (高校二年)
                      宮澤 賢治

                      海だべがと おら おもたれば                 
                      やっぱり光る山だぢゃい                       
                      ホウ                                         
                      髪毛(かみけ)風吹けば                       
                      鹿踊(ししおど)りだぢゃい                   
                               (「春と修羅」第1集より)  

   この方の作品も、掲載率が高いのは、皆さんご存じの通り。国語系の研究発表で取
  り上げられる率は、抜群です。
     参考にしたネスコ編の御本にも、光太郎と共に、五編選択されています。念のため
  に記しますと、「雨ニモマケズ」「春」「永訣の朝」「曠原淑女」に、この「高原」です。
   賢治の詩は、割合に長いものが多いのですが、スペースの関係で、今回は短いもの
  にさせてもらいました。

   そして最後に、何度も取り上げさせてもらっていますが、矢張り、俊太郎氏に登場
  してもらいます。

            二十億光年の孤独(中学三年)
                      谷川 俊太郎

                   人類は小さな球の上で                               
                   眠り起きそして働き                                 
                   ときどき火星に仲間を欲しがったりする               
                                                                      
                   火星人は小さな球の上で                             
                   何をしているか 僕は知らない                       
                   (或いはネリリし キルルし ハララしているか)     
                   しかしときどき地球に仲間を欲しがったりする         
                   それはまったくたしかなことだ                       
                                                                      
                   万有引力とはひき合う孤独の力である                 
                   宇宙はひずんでいる                                 
                   それ故みんなもとめ合う                             
                                                                      
                   宇宙はどんどん膨らんでゆく                         
                   それ故みんなは不安である                           
                                                                      
                   二十億光年の孤独に                                 
                   僕は思わずくしゃみをした                           
                             (「二十億光年への孤独」より)  



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