No.254 −狩行句−



          万緑にラムネ奔騰させ若し
                       鷹羽 狩行
                      (たかは・しゅぎょう)

          出航や花束で指す遠雪嶺
                           〃

          初蝉や抱けばまぶたに伏せ睫毛
                           〃

          蝶凍(い)てて西方の天落ち窪む
                           〃

          天爪粉しんじつ吾子は無一物
                           〃

   そう言った御本人も、相当な方である西東三鬼氏をして、「彼は秀才である」と言
  わせ、「優等生俳句」と歌われた鷹羽狩行氏の御作を、ともかく五句、紹介させてい
  ただきました。
   16才にして俳句の道に入り、山口誓子氏の『天狼』創刊と同時に入会、29才にし
  て「鷹羽狩行」と名乗り、『氷海』編集長。昭和50年、45才で芸術選奨文部大臣新
  人賞を受賞、昭和63年(58才)芸術選奨選考審査委員となり……。
   この方の履歴を紹介しようとすると、あっという間に行数をオーバーしてしまいま
  す。
   それよりも、一句でも多く御紹介し、味合っていただく方が、早道というものでし
  ょう。
   例年の、この時期の恒例に従って、まず、この句から……。

           日本敗れたり猟銃音あざやかに
                        (S26、「流木」)

           箴言(しんげん)のごとく峯雲夜も立つ
                        (S38、「西暦」)

           凍鶴(いてづる)の対なるものは寿(いのちなが)
                        (S39、「母と子」)

           甚平を着て雲中にある思ひ
                        (S56、「六花」)

           白扇を一気にたたみたる別れ
                        ( 同 上 )

           息づきにおくれ息づく薄ごろも
                        (S58、「七草」)

           万緑にふところに日の刃(やいば)抱き
                        (平1、「第九」)


   実をいうと、際限のないことでありました。

   関心をお持ちになった方は、是非・直接・ご本人の句集をお開き下さい。

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