No.128 −藪−



   今年は、9月まで夏が続いていて、東京は観測史上第1位の平均気温、沖縄の那
  覇と同じだったとか。本当に永い暑い夏でした。
     しかし植物の季節感というのは、春と違って、そんなに大きな狂いはないようで、
  花をつけるべき時はつけ、香るべき時には香っているようです。
     萩はもう散っていますし、金木犀も花をつけ、よい香りを放ち始めています。。

   そこで今回は、普段は余り眼に止まらない、目立たない植物を取り上げてみまし  た。
     まず「数珠玉」(じゅずだま、ずずこ、たらむぎ)
   イネ科の多年草ですから、水辺や湿地などに多く自生し、キビに似た葉を1メー
  トルくらいの高さに伸ばしています。初秋に穂状の雌花を開き、やがて、黒から灰
  白色の実になります。
     昔は子供たちがその実に糸を通して数珠(じゅず)を作って遊んだので、その名
  があるのです。
     今の子は知らないし、そんなことはしないでしょうねェ。

        数珠玉をさはにつなぎてまだ軽し
                         後藤 比奈夫

              (註)さは=たくさん

        数珠玉の入口うづむ隠れ里
                         松崎 鉄之介

        数珠玉や鶏がかほ出す札所寺
                         関戸 靖子


   次は「藪枯らしの花」(やぶからし・びんぼうかずら)。
   ブドウ科の蔓性多年草。これは、山野だけでなく、街の中の生垣や、藪の中など
  でもよく見られます。
    小さな雨蛙の手足のように、パッパッと枝分かれした小枝の先に、小さな玉のよ
  うな蕾(つぼみ)をつけ、やがて紫黒色の実になります。細い巻きひげで他の草や
  木にからみつき、覆いかくし、遂にはもとの木や草を枯らせてしまうのです。
     花は淡緑色の四弁花なので、目立ちません。

        思はざる道に出てをり藪からし
                         清水 基吉

        仰山(ぎょうさん)に花をつけ貧乏かづらかな
                         原田 青児

        托鉢(たくはつ)や籬(まがき)をめぐる藪がらし
                         角川 春樹


   前回は大変長かったので、今回はこれで終わり。

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