No.102 −ピクニック−


   春。新学期。新しい生徒が入学してきます。


            地球へのピクニック
                                                谷川 俊太郎

              ここで一緒になわとびをしよう ここで                
              ここで一緒におにぎりを食べよう                      
              ここでおまえを愛そう                                
              おまえの眼は空の青をうつし                          
              おまえの背中はよもぎの緑に染まるだろう              
              ここで一緒に星座の名前を覚えよう                    
                                                                  
                                                                  
              ここにいてすべての遠いものを夢見よう                
              ここで潮干狩りをしよう                              
              あけがたの空の海から                                
              小さなひとでをとって来よう                          
              朝御飯にはそれを捨て                              
              夜をひくにまかせよう                                
                                                                  
                                                                  
              ここでただいまを言い続けよう                        
              おまえがお帰りなさいをくり返す間                    
              ここへ何度でも帰って来よう                          
              ここで熱いお茶を飲もう                              
              ここで一緒に坐ってしばらくの間                      
              涼しい風に吹かれよう                                
                                                                  
                        (石垣りん編「家庭の詩」より) 

   私たちは、この地球にふとやってきた子供のようなものではないでしょうか。地球
  に来てくれと言われた訳でもなく、侵入してきたエイリアンでもなく、でも、天体と
  しては極めて珍しい条件、のおだやかな自然を持つこの地球を楽しみ、愛し、生き、
  場合によっては悩み、しかし結局この地球で生きるしかないことに気付き、長い地球
  の中の一瞬に生きているのです。
     春日遅々。新緑の美しいこの時間を大切にしたいものです。

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