No.124 −五行歌−



   「五行歌」という歌のあるのを御存知ですか?短歌でも、俳句でもない。でも、
  必ず五行に分かち書きされた短詩。主宰(?)の草壁焔太氏の「あとがき」によっ
  ても、その会が創られて今年(1999)の6月でまだ「5年にしかならない」そうで
  すから、一つの短詩の運動としても、まだまだ出来たてのようです。
     そのグループに属して居られる秀れた23歳の女性のデビュー版から、いくつかを
  ご紹介。

              時を                                                    
              経てきたものほど                                        
              悠々と居る                                              
              石も                                                    
              樹も                                                    
                           (水源 純、五行詩集「この    
                             鳩尾(みぞおち)へ」、'99)


   何も言わず                                         
   ゆっくり                                           
   溜め息のような                                     
   さよならを                                         
   置く                                               

                  (同上書)                     
                                                    
              たしかに                              
              いつもとちがう                        
              吐息                                  
              おしまいっていう                      
              しずかな吐息                          
                                        (同上書)       

                                                   
   空間の                                              
   どこにも                                            
   見当たらない                                        
   かたちといろとを                                    
   あなたと見る                                        
                              (同上書)                   

                                                    
              澄んだ                                
              突き抜けた                            
              そらへ                                
              あなたと                              
              いく                                  
                                          (同上書)    

                                                    
   きつく                                             
   つよく                                             
   抱きしめられて                                     
   透きとおる                                         
   からだ                                             
                                (同上書)                 

                                                    
              雨と                                  
              溶け合い                              
              土へかえってゆく                      
              黒になる                              
              紅                                    
                                           (同上書)  



   確かに、短歌のような(しっとりした)叙情ではなく、俳句のようにポツッと言
  い切っても居らず、もちろん、季語とは無関係であるだけに、情の世界に踏み込み
  やすく、でも、変に放り出したような韻律を持つ短詩には違いありません。
   これから、どう成長していくのでしょうか。

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