日私教研からのお知らせ:所長室からのメッセージ

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日私教研からのお知らせ

2045年シンギュラリティーは噴飯もの!

№ 44 (2017年11月)

先日開かれた当研究所の初任者研修全国研修会で、国立情報学研究所教授・日本人工知能学会会長の山田誠二先生にご講演いただきました。AIについてはマスコミ等が喧伝する「やがて人間がAIに服従する時代が来る」といった誤ったイメージが先行し、正しく理解されていないのが現状です。AI研究において日本の第一人者である山田先生から直接お話を伺える機会を得たことは大変ありがたいことでありました。

アルファ碁や将棋ソフト、車の自動走行など今までの生活や常識を覆すようなニュースが続き、現在は第三次AIブームと呼ばれています。従来のように人間がプログラミングをしなくても過去の膨大なデータを読み込ませ、分析させることで新しい事象を生み出す、このディープラーニングが万能なのではないかと私たちは思いがちですが、山田先生はそう簡単なものではないと言われます。

なぜならば、私たちが何気なく行っている動作、例えば歩く、コップに水を注ぐ、これだけでも複雑なプログラムが必要です。また膨大な量の知識を駆使した「常識」と呼ばれるもの、その常識を基にした推論などAIが不得手とするものが限りなく存在する、AIが人間の仕事を「丸ごと」代替するというのはずいぶん乱暴な議論であり、そうした意味で表題のシンギュラリティーが僅か30年弱の間に起こることはあり得ないだろうとも話されました。

これからの時代は人間とAIが一緒に働く社会になり、定式化が難しいかどうかが鍵になる、AIで代替可能かという視点で見れば必ずしも人間が担うのがクリエイティブな仕事に限らないとのお話もありました。

また、教育へのAI導入については、AIリテラシー教育、AIエンジニア育成、アダプティブラーニングのシナリオ管理、学習を意識させないゲームの開発等が考えられるといった興味深いお話が続きました。これからの教育の方向性が垣間見えたような講演でした。

講演を終え、控室に戻った先生のお話で「今一番困っているのはロボットに対するいじめです。ロボットに無理難題を要求し、答えられないと殴る蹴るの暴行を働き壊してしまう、相手の表情や動作に危険を察知したら逃げるプログラムを開発中です」とのこと、自分の子供の被害を心配するお父さんのようで、不謹慎ながらこみ上げてくる笑いを抑えるのに苦労しました。激変する社会に少なからぬ不安を感じている私にとって何かホッとする気分を味わったひとときでした。

所長 中川武夫

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